ブログランキング

逗子メディスタイルクリニックFacebookページ

ステロイド恐怖症にいつまで対処すればいい?

こんにちは、りえです。

ネットで医療情報を集める人が増えていますね。
自分の体のことを勉強するのは大変いいことだと思いますが、
ネットには無責任な情報やむやみに恐怖を煽る情報もたくさんでています。

私も3人の子育てをしていく上で、わからないことなどはネットで調べますし、
自分が妊娠中に急性虫垂炎になったとき、虫垂が普通と違う場所にありますし、正直専門外ですのでこの症状はいったいなんだ〜!?という状況で痛みにもだえながらiPadで検索して、確信持ってから救急車を呼びましたので、ありがたさも実感しています。

ところで医師の間で困ったと度々話題に上るのが”癌ビジネス”と言われるもの。
これもネットが利用されます。
私が乳がんと診断された時にやっぱりネット検索すると、怪しげな情報がごまんと出てきました。
一喜一憂したりもしましたが、疑問点は論文を調べ、教科書をひっぱりだすことにして、あとは自分の体と主治医を信じて今はさすがに振り回されることはないとはいえ、医者の私ですらグラグラ揺れるほどの情報がありすぎて、これは一般の患者さんは惑うよなあ・・・とつくづく思います。

”癌ビジネス”と並んで称されるのが”アトピービジネス”

ステロイドを『悪』と位置づけ、あんな恐ろしい薬は使ってはいけない。代わりにこれを使いなさい。というものです。

数十年前にステロイドバッシングが大流行りしたためにそれを利用しているのでしょう。
ご存知の方も多いでしょうが、アトピーはなかなか難しい病気で、症状とすっきりさよならできるものではなく『付き合っていく』病気です。
症状にもよりますが、基本的にアトピーに対し学会では治療の第一選択にステロイド外用剤をあげています。

過去のステロイドバッシングから、医師もステロイド使用に慎重になったはずです。
でも、数十年再検討を重ねられて、やっぱり問題なく使ってよい薬だということになっているんです。

どんな薬にも副作用はあります。
でもステロイドは普通の薬とは違い、なにやら恐ろしいことがおきるらしい、と刷り込まれている患者さんも多いです。

全身に毎日大量に塗らなければいけない患者さんや内服で使う場合などはもちろん医師も慎重になります。

ところが、ほんの数日これだけ使ってね、と小さいチューブ一本処方しても
ステロイドです、と言った途端に表情を曇らせる方の多いこと!
いや、そりゃ自分の体に使う薬ですから安心なものを使いたいのはわかりますが、
じゃあこれを使ってどういう心配がありますか?と聞いても具体的に答えられる方もいないので、これまた対応しようにも難しい。

それだけステロイド恐怖症が社会に染み付いているのか、とまあ、もう慣れっこになって、皮膚科診療ではこちらから先手を打って説明してあげることが多いですが、

先日、レーザー後の患者さんに炎症を抑える目的でステロイド外用薬を出しました。
皮膚の病気に使う場合、もともとは私のあずかり知らぬところででてきた病気ですからいつまで使うか初めの時点では絶対というものがありませんし、保険診療では薬剤情報提供料というのもいただいていますので、薬の説明の紙も出しますが、
自費診療でレーザーの場合、私がつけた傷ですので、別の被覆材などと一緒に使い方は十分説明した上ですが、特にステロイドと言わずに処方したのがいけなかったのだと思います。
初めの数日使って、改めてチューブの表記を見たらステロイド!ということで勝手に使用をやめ、しばらく使わずにいて、またどこかで情報を得て再度使い出した、そしたら急に治ってきた。自分が一時期やめたのははじめにステロイドだと説明がなかったからだ!と怒っていらっしゃいました。

私の言う通りに薬を塗ってこんなひどいことになった!!と怒られるなら話はわかりますが、
私の言う通りに薬を塗ったら治ったじゃないか!!と怒られたのは初めてで、仰天してしまいました。

しかも、他に一緒に処方したハイドロコロイドというシールに関しては特に心配もしなかったようですが、
私からみたらキズ◯ワーパッドとして市販されているこのシールも、感染があるキズに自己判断で使って、みるも無惨な状態で
駆け込んでくる方もいらっしゃいますから、今回処方したステロイド剤に比べ全然副作用がないというわけでもない。
ただ、ステロイドというだけでこれだけ感情的になるのはいかがなものなんでしょう?

医師は患者さんと病気を診て、リスクとベネフィットを比べながら治療の選択をします。
薬剤師さんは薬の専門家で医師より薬そのものを知っているかもしれませんが、医師の仕事は診断と治療です。
この患者さんにとって、これだけのリスクを背負わせる意味があるか、常に考えているのです。
どんな薬でもそうですが、意味なくステロイドを処方したりは絶対にしません。

輸血を絶対に拒否する宗教に入っている方のように、
ステロイドを絶対に拒否する、というのであればそれはまた別ですが、もしそうであれば初診時にでも表明しておいてほしいものです。
いや、むしろ問診票に「ステロイド剤を絶対拒否しますか?YES NO」で書いておいた方がいいんでしょうか?

先般の患者さんには十分説明して、結局患者さんは「先生を信頼しています」と言ってお帰りになったのでほっとしましたが、
なんだかずっとモヤモヤが取れなかったのは、結局この世間にはびこるステロイド恐怖症のせいでどれだけ患者さんが不利益をこうむっているのか!!というために他なりません。

もうステロイド恐怖症、やめませんか?







 

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック